2013年4月29日月曜日

海に行ってしまうはつ夏




なにか
記そうと…

白い紙をひろげ

ひろげたまゝ
また
海に行ってしまう
はつ夏

帰ってくると
待っていてくれている
紙の白

波の音が
からだの奥で
いつまでも
消えない

紙の白に向かい
聞き続ける
波の音

なにも
思い出さないほど
満ち足りていた
浜の時間を
むりに触れもせず
整理もせず
こねくりもせず

ひょいと
テーブルの上に
投げ出す

落下せずに
テーブルの上
15センチほどに
浮いている
浮きつづけている
浜の時間
                                  
   


2013年4月28日日曜日

asa


  

asa
とよぶ
朝の
よろこび

にほんごで
にほんじんして

つめたいまゝ
飲んで

おゝ、
ツメタ、

思う
よろこび

みそ汁や
白いばかりの
ご飯など
食べる
よろこび

にほんごで
にほんじんして

asa
とよぶ
朝の
よろこび




今でしょ





いつやるの?
今でしょ

でウケている
予備校のセンセがテレビに出ていたので
見ていたら
名前を覚えてはもらえずに
あっちこっちで「今でしょ?」と呼ばれるばっかりだそうで
巣鴨で女子高生たちに

あれ、「今でしょ」じゃん?
どこどこ?「今でしょ」、どこ?
ほら、あそこ
あ、ほんと、「今でしょ」だ
ね、「今でしょ」じゃん、やっぱり
わあ、ほんとに「今でしょ」だ

などと固有名なしで騒がれるし
タクシーに乗ろうとすると

 いつ降りるの?

と運転手から振られて

今じゃないでしょ

と答える羽目になるそうで
なかなか
流行りの中心にいるのも楽じゃないのだとか

どうでもいいけれど

(そういえば、ドォデモイイデスヨ~、
(と言っていた芸人はどこへいったんだか

このセンセのセリフは
手を変え品を変え
むかしからよく言われてきたセリフで
どうしてこのセンセのセリフとして流行ったのか
ちょっと首をひねってしまう

禅坊主たちや
スピリチュアル系たちには
まぁ
お得意のセリフ
さとり十八番
といったところ

いつ悟るの?
今でしょ

思索や分析を超えたところにある悟りだから
いつ悟るかといえば
だんだんとではなく
少しずつでもなく
絶対に
しかない

カリフォルニア系のニューエイジ・ムーヴィメントでは

 いま
 ここ

きまって
いつも
キーワードだった

今でしょ
ここでしょ

というわけ
英語で言うと

Now
Here

だから
よくラージニーシなんか言っていたものだ
 (あとでオショーに改名したネ
ふたつあわせて

 Nowhere 

だって

 Now+here=nowhere

なんだって

〈この世の外なら何処へでも!*
と切望した
ボードレールよ
きみがこれを知ってれば
〈この世の外でも此処だよね
と言い変えたかも
しれない

ま、
こんなわけで

今でしょ

っていうのは
むかしから
東洋の
さとり希求系では
おなじみの
決めゼリフだったわけでございます

ちょいと一席
さとり話でございました

おあとがよろしいようで…




*シャルル・ボードレール『パリの憂鬱』



2013年4月27日土曜日

チョーヘイセイ、超平成、徴兵制、






どこでだったか、ヘーゲルは、世界史上のすべての偉大な出来事と人物たちは、
いわば二度現れる、と指摘していた。彼は付け加えるのを忘れたのだ。一度は
偉大な悲劇として、もう一度はみじめな笑劇として、と。
                                            マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』






徴兵制導入を
考えている与党さんらしいが
適正軍備拡張論者・対米軍隊設立論者のオイラからすりゃ
噴飯ものの考え
徴兵制は
まだまだ総力戦に意味があった頃の
むかし懐かしい人海戦術用方策
現代から近未来の超先端兵器の前では
徴兵制は意味をなさない
先端兵器を操れるよう
教育できる人員数は限られるし
教育には時間も手間もかかるし
そこまでの技能を習得できていない兵士たちを投入し
今さら銃剣や機関銃で突撃させたって
先端兵器の攻撃で一瞬に部隊は蒸発する
骨ひとつさえ残さずに
戦争ゲームそのものだったイラクやアフガンの砂漠戦で
音もない爆裂や煙をあんなにたくさん見たというのに
あれさえ今は昔の呑気な全滅風景であったというのに
あらためてニッポンジン平成生まれ男子の肉体たちも
あんなふうに無音でクリーンに消滅させてみたいのか

要るのは戦闘機操縦以上の能力を備えた優秀な兵士だが
徴兵制ではそういう人材は集められない
バカも休み休み言えとはこのこと
兵器で決まる近未来戦争は
兵器の開発と他国の兵器開発阻止とでアプリオリに決してしまう
戦争音痴が音頭を取って
今ふたたびの二百三高地でもやらかしたいのか
自衛隊が今保有する最新鋭兵器を動かす最終キーと暗号番号は
どれもアメリカさんの手中にあって
へへ、使わしてもらってよろしゅうございますかね
とお伺いを立ててからようやく使用できるかどうかだそうだが
まずはそんなアメリカからの兵器開発妨害措置と闘ってから物を言
アメリカにお伺いを立てずに独自の兵器開発を進めてみろ
核兵器を衛星から攻撃破壊できるレーザー兵器の秘密を
アメリカから奪ってみてから物を言ってみろ

靖国の御英霊がたがおっしゃっておるぞ
鬼畜米英!
鬼畜米英!
鬼畜米英!
鬼畜米英!
御英霊がたの御声に耳を塞ぐのか
聞かないふりをするのか
どこの企業も
敵性語を不消化にカタカナ表記して有難がり
敵性語で大学の授業もするべしするべしと妄言を吐く輩もおるとな
いったいどこまでカマ掘られてれば満足するのか
大日本帝国はいったいどこと戦ったと思っておるのか
御英霊がたはどこを敵としたと思っておるのか
大腸過敏症のいったん政権を放り出したお坊ちゃんに率いられた
ヘタレの弱腰野郎どもよ
くそったれ(いやホント、文字通りに垂れ流し的くそったれ…)
また首でも吊るかこの野郎
また突然に辞任することにいたしました会見でもするかこの野郎

な~んて
オイラは言わないが

御英霊がたはおっしゃっておるぞ
ペリーに脅されてからこの列島小国はガタガタになって
いまだに進んでオカマを掘られ続けている始末
あめりかしてぇ
あめりかしてぇ
あめりかしてぇ
まえからうしろからよこからたてからお口から、うっふ~ん
とな

そんなことを胡麻化そうとして
隠蔽しようとして
平成を超えようとして
超平成しようとして
チョーヘイセイしようとして
徴兵制かい?
大塚商会でもあるまいし
オヤジギャグも
休み休み言えってことさ

な~んて
オイラは言わないが

御英霊がたはおっしゃっておるぞ
ペリーに脅されてからこの列島小国はガタガタになって
いまだに進んでオカマを掘られ続けている始末
まったくもって遺憾のきわみと
歎いておられる
おられるぞ

おそれかしこみ
おそれかしこみ










誕生から成長へ
そして老いへとむかう肉体の変異は続いているが
それをよそにわたしは時間を手づかみできるようになっている

すでに死をこえて
わたしは過去の全瞬間の回収にいま取りかかっている

かたや未来はわたしの身体となり
あらゆる意識たちはわたしの中で息をするようになるだろう

時間が過去現在未来を脱いで拝礼に来る

なにも言わなくてもおまえを祝福しよう時間よ
ついこのあいだまでわたしこそがおまえの内に包まれていたようなのに
いまではわたしがおまえを胎に抱いている

わたしはこれからの宇宙と宇宙の外のはじまりとなり
湯水のようにいましばらく言葉を流し
闇のかがやきのように
流れと逆流の同時の発生のように物質と霊と魂のあいだを統べるだろう

死のときにあらゆるものがわたしに会い
わたしを通過する

このようなことがこれまで起こったことはなかった

精神の季節がどれも超えられ
個我がわたしにおいてまったき透明に到ったから

とほうもない軽さと
とほうもない重さが
ともに発生しはじめている

混乱のような変質のうねりが地上をめぐるだろうが

死はないから

やすらんでみな
死にゆけ



2013年4月26日金曜日




安いビスケットと
ちょっと高いビスケット
さくら色の
小皿にのせて
花冷えの
午後三時ちょっと


航海に
なんて出ないのに
いつも思う
三時前になると

航海に…

もう心も旅立ちはしない
現在時という
墓に
期待の足腰を取られ
慣れ
東から西へ
陽の移り

星々の移りを追い

(ソレデモ猶ワタシノホウカ、
(動イテイルノハ
(陽のマワリヲ…
(銀河系ノ中心ノマワリヲ…

うすむらさきの
小皿のほうが
よさそうに思え
ビスケットを移そうと
食器棚の
奥の

をさ
がそう
と立ちあ
がり

航海に…

(ソレデモ猶ワタシノホウカ、
(動イテイルノハ

恍、惚、

時間
ここの場所
そこ
あそこ

航海に…

うすむらさきの
小皿の

うへ



航海に…





2013年4月25日木曜日

さふさふ




 
またきょうも助けるべきひとをだれも助けずに
ちょっと値の張るバウムクーヘンなど食べている
うつくしくあり続けたい
お嬢さん  
     
すぐとなりに
           それほどわるい心根でもないらしい
若者がひとりであまいラテを飲んでいるけれど

それほどわるい心根でもない
             ことなどなんのおもしろみもなく
お嬢さんはみらいのようなカフェの入口のほうを見つめている

みらいはいつも
とおくない入口のむこうに
とおく感じられるのでなければいけないから
じぶんがいる席のちかくを
みらいへの入口のように見つめることはない

だれも助けないからといってわるいひとではない
いいひとになれといわれて地球にこびりついているのでもない
ちょっと値の張るバウムクーヘンを食べていれば
                      いい
たぶん
食べられるうちは
食べられるときには
たぶん


ところで
なにをしている
わたし
なのだろう

ふかくもないしりあいというだけのことで
お嬢さん
あなたに
バウムクーヘンなどとってあげて
さふさふ
あなたが食べるのを見ている

なにも他意はないのだ

さふさふ
あなたが食べるのが
食べるのを見ているのが
ここちよい
それほどわるい心根でもないらしい
となりの若者にさえ目もくれず
さふさふ
さふさふ
食べているあなたを
なにも食べずに
見ている

よかったら
あげよう
わたしの前にあるバウムクーヘンも

さふさふ
さふさふ

もっと
さふさふ

させるために

させ続ける
ために




2013年4月24日水曜日

黒プラスチック好き


 
 
黒プラスチックの
なめらかな鏡面に映った
ランプや
その他
あれこれ
 
硬質さも
ある
どろりとした
ゼリー界に見入って
 
…し・あ・わ・せ
 
有機栽培の

でも
作ろうか、ふたたび
 
ビニール葉の
ホウレンソウや
陶器の
イチゴにも
そろそろ飽きたし
 
と・も・か・く
 
黒プラスチック
好き


2013年4月23日火曜日

浅き夢見じ酔ひもせず



  

はじめに首相になった時
精神的に追いつめられ
安倍晋三は
じつは
首吊りを図ったのだという

いくつかの
伝聞の迂回路を経て
まわってきた話
担当の
精神科医師が出どころというが…

わたしが首を吊ったのは
もうずいぶんの昔
首から上がカアッと熱くなり
焼け石のようになった
アタマ

すべての問題と
壁の消滅が
この先にはあるんだナ
と思いつつ
縄を解いてしまったが…

怖かったのではなく
なんて死は簡単かとわかり
ならば今後は
死者として歳月を経てみようかと
いたずら心を起こした

以来三〇年ちかく
この国と時代に
亡霊として
滞留してきたような
もの

死のうとしたわけは
人生上の煩悶でもなく
不如意でもなく
時空に限界づけられた生に
耐えきれなくなったから

アタマの吹き飛ぶような
心身離脱体験や
地上のすべてに浸透する実感や
幽体離脱の浮遊経験の
次の段階へと急いだから

若気のいたりだったが
シュタイナーも注意を促した
物質生活の拡充と安定や
地味な社会生活の維持の修行を
なかなか忍べなかった若い若い時代

行から行へ
聖地から聖地へ
空海からグルジェフへ
さまよい続けた長い時間を
無意味と断じていまは捨て去りうる

魔法と呪術の
実際のめくるめく修行の
闇とひかりの日々よ
訪れる霊たち
他の系列の修行者たちよ

…などと
このさき書き続ければ
いかにもそれらしい
通俗ろまん心霊主義ポエムにもなろうが
…あほらし

得た力は得た力
クエストはクエスト
ことばにはことば
時代には時代
ひとにはひとの望むものを

わかるようになったか
村井くん
わたしと別れて集団の道を行き
子どもじみた教団ごっこの末
青山で刺されて死んだ村井くん

バブルのざわつきの外で
いっしょに
少人数でヨガをしていた頃の
土曜日の甘い汗のかおり
帰りの電車内でのシャンカラ

クエストはクエスト
わたしが受け続けている教えは
つねにひとりあれ
世の狂騒と迷いと不幸のなかにあれ
凡者としてあれと命じる

村井くん、きみは
集団の魔に陥って過ち
クリシュナムルティも空也も忘れ
浅い夢のほうへ
革命の浅瀬へと走ってしまった

浅き夢見じ酔ひもせず
浅き夢見じ酔ひもせず
有為の奥山今日越えて
我が世誰そ常ならむ
色は匂へど散りぬるを

必要だったのは
誰もが諳んじている
こんなこと
浅き夢の排除
押しよせ続ける酔いの中での越え

死者として
滞留してきたこの国と時代の
なおしばらくの変転を
いっそうの死者として
凡者としてわたしは見続ける

色は匂へど散りぬるを
我が世誰そ常ならむ
有為の奥山今日越えて
浅き夢見じ酔ひもせず
浅き夢見じ酔ひもせず