2010年8月20日金曜日

ヴィーナス再誕

若草の茎の肌のように、
もし
眠かったら
おいで、この泉へ

淵に石たちが
ぷちぷち
粘膜のおしゃべりを続け
青や黄色の花々が
澄ました顔を陽に向けている
幻だったよね、きみ
求めてきた空箱や
欠けた陶器
抱いて!
若い日の肌さえ
思い出そうとしないから

濡れた肌の上
水の切れていく速さを
きらきら
楽しく追い直しているの
読みつくさないまま
瞬間の連鎖は放り出し
深海にくらぐら
沈んだり
浮いたり
思いちがいの
かわいい花籠たちよ
すっかり心やすく
解く
幾重もの衣
彩の
数かず


(ぽ387号・2010年3月)

1 件のコメント:

  1. とても好きな詩。映像にしたらどうかと、想像します。

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