駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2025年4月7日月曜日
めらめらと
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奢れる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ 『平家物語』 千鳥ヶ淵の桜の満開のなか 花見しに来た人びとも満開のなか 思えてならなかったのは 1945年の3月10日なんかに大空襲をせずに 桜で満...
霊魂は体から離れるのか?
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夢は映像だ と安易に断じるひともいるが 映像などない 言葉や考えだけの夢も わたしはよく見る きのう 目覚める前に見ていた夢では 寝ているあいだに霊魂が体を離れる という考え方への批判を 夢の中で考えていた 霊魂は人間存在の本体と考えられており それは人間存在...
もうくっつきなどしないのに
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Et in Arcadia ego Nicolas Poussin 世の どこに起こることにも もう心は惹かれぬ きみの 彼の 彼女の 近ごろの考えの 変化にも あるいは堕落にも 飛躍にも むしろ ずいぶん遠いところの 少年が愛ではじめた...
旅はもう旅とも呼べぬ旅
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脇道や寄り道やまわり道は しばしば 脇未知や寄り未知でまわり未知で ふいの深みに入り込む 恰好の扉や入り口であったりもするものの 深みをそのまま価値と信じた 若さのゆえの心の浅さも ところどころ干からびてくる頃には 脇道や寄り道やまわり道のどれもこれもが じつはただの 脇道や...
あなたへ
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いまという瞬間の偶然の顔を いまのあなたをまったく知りもしない いまのあなたをすっかり忘却し切った いまのあなたとまるで縁がないとも言えそうな 来世のあなたへむけて 送ろうとでも いうのか 自撮りするひとよ 自撮りし続けるひとよ いまだけの満開の桜を背景にして...
今日は
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咲きみちた 桜のながい並木の続く下を ゆるゆる 進む 花見客たちの 楽しみぐあいを 愉しんで わたしのまなざしも わたしというまなざしも 流れて行った 桜の精たちのひとりに しのび入ったように 迎えられたかのように 今日は
満開の桜を見る時には
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見たり 聞いたり 触ったりするものが その時々の内面となるのだから 満開の桜を見る時には わたしは桜 見たり 聞いたり 触ったりするものが その時々の内面となるのだから 満開の桜を見る時には 桜たちはわたし
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