われらの願いを妨げるロンギヌスの槍はすでにない
(『新世紀エヴァンゲリオン』第弐拾四話)
献身のあかしの薔薇を遥子に
理紗には
ヴェネシヤングラス少量の
わが三十路の精液
なべて愛し
みずみずしき退廃の舟
けっきょく誰が真の旅に発ったか
至上の煙草をもとめ
われわれは処女のまま
唇を保って
109で久しぶりに待ちあわせ
女を捨てておいでよ
心は臭うから
躰は無臭、かたい桃の
シェーキをニシムラで頼み
たゞたゞ見知らぬ肉体をもとめて
もうまなざしは離れる
きみからも
あらゆる帝国たちからも
死はない
冷たいペンであるべきである
愚問を
ルッコラのトスカナ風サラダに紛らし
吹キスサブ
60年代外哲学のページ
アーレントああ
マンハイムああ
嵐山で今年×月×日ふたたび
水野霞と密会予定
紅葉きれいだといいね、霞
ワタクシ通俗ス
霞ちゃん…
霞ちゃん…
二尊院の墓地で
ひとり淡雪のなかに立つ
恒例行事
ワタクシ寂寞ス
べつの女体を前後に抱いて
雪墓地にひとり
祇王寺も寄るかもね
野宮神社も寄るかもね
天龍寺にも
で
湯どうふ
愛人よ
一瞬だけ顕われよ
清潔なバスに身を浸す時の
まどろみの
夢を彩るためにだけ
先週のニューヨークの雨
デルタ機の席に沁ませ
コロンビアの娘と
再来月の約束
上海まで行く気がなくて
セブには行く気があって
終わりはいつも必要悪
性でも
生でも
精でも
正でも
だから芍薬が好きなんよ
百合はやだね*
愛液が
うつくしくこびり付かないから
だから遥子とも
理紗とも
切れたっていってるじゃないか
霞よ
きみだけがすべて
たとえ会えないとしても
たとえ会ったことが
まだ
ないとしても
*「フランスの王たちは百合を好む。それが勾配にはりつく深い根をもつ植物だからだ」(ドゥルーズ+ガタリ『千のプラトー』、序「リゾーム」 豊崎光一訳)
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