駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2011年9月17日土曜日
年齢
温度がさがって
増していく廊下のかたさ
だれもいないところなどないと
知ってるはずの年齢でしょ?
ほそい冷凍花のくずれていく音が
だから
届いてもいる
うすいガラスは
かならず
だれかの心を受信しているという
食器棚に並んでいるのは
ほんとうは位牌なのだとも
生きている
死んでいく
あらたな響きの
はじまることのない沼があって
そのほとりに
ひとびとは
最後
とどまるのらしい
つくり始めるのも
仮住まい
もう
館でなくてもいいと
諦めていたりする
らしい
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