死んでいても
生きていても
この小石はこんなにふしぎに黒いままだろうと思いながら
だれも見ていない澱んだ小川に投げた
ちょっとだけ場所の説明を補っておこう
小川のむこうには小暗い林
小川のこちらには草の少ない土の露出
あたりに数軒の家
しかし町は遠い
この時から
音がまったくない音が聞こえ続けるようになった
なにも聞こえなくなったのではない
音がまったくない音
それがたくさんの音のなかに雑じって聞えるようになった
つよくはっきり聞こえるようになった
体や心というものを
まだ持っていた頃のことだった
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