2012年5月1日火曜日

澄んだ濃いブルーが





霧雨が降り出し
コンパスに
ガラスに
付きはじめている
こまかく

方位は今
どうでもいい
たのしい
水滴
小ささ

間合いをとりながら、

ぽつ、
ぽつ、

ガラスに付いていく

ぽつ、
ぽつ、

ぽつ、
ぽつ、

山きわの小道
進む
だれにも出会わずに
思わない
人生の
どうのこうの
進む
思わずに

いろいろ
人に会ってきたようでも
ほんとは誰にも
会わなかったようなもの
だれもが
思い出
遠い光
ざわめき

ぽつ、
ぽつ、

霧雨をうけ
歩く
ひとり

まだ
傘はいらない
持っている
開かない
やさしい濡れ
霧の
霧雨の
なかをまだ
まだ
行くから

行く
なんの
比喩でもなく
まだ行く

比喩は
言わない
(言いそうだっただろ…?)
いつもなにかを殺す
比喩
比喩は逃避
山ぎわの小道は
山ぎわの小道
どうして
逸れようとするのか
いつも
ことばで
ことば
使い誤って

ぽつ、
ぽつ、

ぽつ、
ぽつ、

ぽつ、
ぽつ、
ぽつ、
ぽつ、

降り続き

点、点、点、
 
ガラスに
付いていく
水滴
日暮れもまだ遠いのに
澄んだ
濃いブルーになってきている
まわり

ぽつ、
ぽつ、

ぽつ、
ぽつ、

幾世の無数のわたしたちの後の
わたし

ぽつ、
ぽつ、

ぽつ、
ぽつ、

澄んだ濃いブルーが上がってきている



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