眠ろうかという深更、紅茶が飲みたくなる
静まった台所に立って湯をわかし
どの茶葉にするか迷い、
けっきょく
淹れるのに簡単なティーバッグを選んだりする
カップにそのまま淹れるか
ポットに少し大目に淹れるか、また迷い
カップに淹れることにするが
どのカップにするか、また迷う
ようやく飲む時になって
戸外のあまりの音のなさが気になる
戸を開けてヴェランダに出てみる
風もなく、もやっとした見えない空気が蟠っていて
紅茶を淹れる時に立った蒸気のよう
熱い紅茶の入ったカップを持ち
人間はふしぎな所業をするものだと思い直す
手にしたカップの中には
今必要なあらゆる大事なものがあるような気もするが
あらゆる大事なものの
そんなすべてを
ゆっくり
ゆっくり
からだの中に
滴らせていこうとする
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