けっきょく世界などどうでもいいのだと
淹れたての
たった一杯のコーヒーを飲む
深更
このグランドホテルにある
大きな花壇に
さっきもひっそりと忍び入ってきたが
(とはいえ、深夜の花壇が禁止などされてはいないのだが…)
もう一度
裸足にスリッパをつっかけて
闇の中の花々のあいだを
すり抜けてきたい
大切なことは
やはりコミュニケーションではなく
伝達でもなく
思索や感得でさえない気がする
―他にはだれもいない
―だれひとりいない
―だれにも知られず
―見られず
―感じられず
こんなことのほうが
たぶん
もっと大切
闇の中の花々の
よく見えない花びらのおもての
まるで見えない空気に目をこらして
見る
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