2012年9月10日月曜日

おやじ里



おやじのふるさと……
カツマタくんがそう言うので
おやじでいっぱいの里を
想像してしまったでないノ

もちろんカツマタくんは
お父上のふるさとのことを
言ったのであるヨ
そんなことはわかっておるヨ

しかしながらおやじたちで
いっぱいの里ってのは印象ぶかく
サル山に群れるサルさながら
おやじたちの山
おやじたちの川
おやじたちの村
おやじたちの原
どこもかしこも楽しそうで
なんだか賑やか猥雑で
こういうところで余生ってのも
ありかな、なんて思っちゃう

おやじたちが里に向かえば
もちろんかくめいなんだゼイ
都会なんぞからは目をそらして
てきとうに農耕するおやじ群
インプラントなんてしないで
欠けた前歯には煙草なんぞ挟んで
煤けた黄色い歯を出して笑う
長い髭に長髪の仙人さんや
白髪を丸坊主にした八百屋ふうや
つるっぱげのフーコーふうが
わんさわんさと動きまわる里
なんだか浮き浮きゾクゾクするゾ
浮薄なますこみに踊らされて
小ぎれいさに小金をかけさせられて
まったく下らない数十年だったじゃないノ
こんな日本に誰がしたなんて
言わずにおやじは田舎をめざす
ブランドなんてハナからいらない
ファッション誌なんてほとんど返品
勝手に新宿伊勢丹してろ
これから来る来るルンペン時代
これから来い来いルンペン時代
とにかくかにかく
いかに新たなものを買わぬか
いかにGDPを下げるか
買わずにお古
飾らず
シンプル
穴あき
やぶれ
かすれ
ぼろぼろ
それでも
快適

そんなおやじの
時代が
クル
クル


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