はじめに首相になった時
精神的に追いつめられ
安倍晋三は
じつは
首吊りを図ったのだという
いくつかの
伝聞の迂回路を経て
まわってきた話
担当の
精神科医師が出どころというが…
わたしが首を吊ったのは
もうずいぶんの昔
首から上がカアッと熱くなり
焼け石のようになった
アタマ
すべての問題と
壁の消滅が
この先にはあるんだナ
と思いつつ
縄を解いてしまったが…
怖かったのではなく
なんて死は簡単かとわかり
ならば今後は
死者として歳月を経てみようかと
いたずら心を起こした
以来三〇年ちかく
この国と時代に
亡霊として
滞留してきたような
もの
死のうとしたわけは
人生上の煩悶でもなく
不如意でもなく
時空に限界づけられた生に
耐えきれなくなったから
アタマの吹き飛ぶような
心身離脱体験や
地上のすべてに浸透する実感や
幽体離脱の浮遊経験の
次の段階へと急いだから
若気のいたりだったが
シュタイナーも注意を促した
物質生活の拡充と安定や
地味な社会生活の維持の修行を
なかなか忍べなかった若い若い時代
行から行へ
聖地から聖地へ
空海からグルジェフへ
さまよい続けた長い時間を
無意味と断じていまは捨て去りうる
魔法と呪術の
実際のめくるめく修行の
闇とひかりの日々よ
訪れる霊たち
他の系列の修行者たちよ
…などと
このさき書き続ければ
いかにもそれらしい
通俗ろまん心霊主義ポエムにもなろうが
…あほらし
得た力は得た力
クエストはクエスト
ことばにはことば
時代には時代
ひとにはひとの望むものを
わかるようになったか
村井くん
わたしと別れて集団の道を行き
子どもじみた教団ごっこの末
青山で刺されて死んだ村井くん
バブルのざわつきの外で
いっしょに
少人数でヨガをしていた頃の
土曜日の甘い汗のかおり
帰りの電車内でのシャンカラ
クエストはクエスト
わたしが受け続けている教えは
つねにひとりあれ
世の狂騒と迷いと不幸のなかにあれ
凡者としてあれと命じる
村井くん、きみは
集団の魔に陥って過ち
クリシュナムルティも空也も忘れ
浅い夢のほうへ
革命の浅瀬へと走ってしまった
浅き夢見じ酔ひもせず
浅き夢見じ酔ひもせず
有為の奥山今日越えて
我が世誰そ常ならむ
色は匂へど散りぬるを
必要だったのは
誰もが諳んじている
こんなこと
浅き夢の排除
押しよせ続ける酔いの中での越え
死者として
滞留してきたこの国と時代の
なおしばらくの変転を
いっそうの死者として
凡者としてわたしは見続ける
色は匂へど散りぬるを
我が世誰そ常ならむ
有為の奥山今日越えて
浅き夢見じ酔ひもせず
浅き夢見じ酔ひもせず
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