またきょうも助けるべきひとをだれも助けずに
ちょっと値の張るバウムクーヘンなど食べている
うつくしくあり続けたい
お嬢さん
すぐとなりに
それほどわるい心根でもないらしい
若者がひとりであまいラテを飲んでいるけれど
それほどわるい心根でもない
ことなどなんのおもしろみもなく
お嬢さんはみらいのようなカフェの入口のほうを見つめている
みらいはいつも
とおくない入口のむこうに
とおく感じられるのでなければいけないから
じぶんがいる席のちかくを
みらいへの入口のように見つめることはない
だれも助けないからといってわるいひとではない
いいひとになれといわれて地球にこびりついているのでもない
ちょっと値の張るバウムクーヘンを食べていれば
いい
たぶん
食べられるうちは
食べられるときには
たぶん
ところで
なにをしている
わたし
なのだろう
ふかくもないしりあいというだけのことで
お嬢さん
あなたに
バウムクーヘンなどとってあげて
さふさふ
あなたが食べるのを見ている
なにも他意はないのだ
さふさふ
あなたが食べるのが
食べるのを見ているのが
ここちよい
それほどわるい心根でもないらしい
となりの若者にさえ目もくれず
さふさふ
さふさふ
食べているあなたを
なにも食べずに
見ている
よかったら
あげよう
わたしの前にあるバウムクーヘンも
さふさふ
さふさふ
もっと
さふさふ
させるために
させ続ける
ために
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