2013年4月28日日曜日

今でしょ





いつやるの?
今でしょ

でウケている
予備校のセンセがテレビに出ていたので
見ていたら
名前を覚えてはもらえずに
あっちこっちで「今でしょ?」と呼ばれるばっかりだそうで
巣鴨で女子高生たちに

あれ、「今でしょ」じゃん?
どこどこ?「今でしょ」、どこ?
ほら、あそこ
あ、ほんと、「今でしょ」だ
ね、「今でしょ」じゃん、やっぱり
わあ、ほんとに「今でしょ」だ

などと固有名なしで騒がれるし
タクシーに乗ろうとすると

 いつ降りるの?

と運転手から振られて

今じゃないでしょ

と答える羽目になるそうで
なかなか
流行りの中心にいるのも楽じゃないのだとか

どうでもいいけれど

(そういえば、ドォデモイイデスヨ~、
(と言っていた芸人はどこへいったんだか

このセンセのセリフは
手を変え品を変え
むかしからよく言われてきたセリフで
どうしてこのセンセのセリフとして流行ったのか
ちょっと首をひねってしまう

禅坊主たちや
スピリチュアル系たちには
まぁ
お得意のセリフ
さとり十八番
といったところ

いつ悟るの?
今でしょ

思索や分析を超えたところにある悟りだから
いつ悟るかといえば
だんだんとではなく
少しずつでもなく
絶対に
しかない

カリフォルニア系のニューエイジ・ムーヴィメントでは

 いま
 ここ

きまって
いつも
キーワードだった

今でしょ
ここでしょ

というわけ
英語で言うと

Now
Here

だから
よくラージニーシなんか言っていたものだ
 (あとでオショーに改名したネ
ふたつあわせて

 Nowhere 

だって

 Now+here=nowhere

なんだって

〈この世の外なら何処へでも!*
と切望した
ボードレールよ
きみがこれを知ってれば
〈この世の外でも此処だよね
と言い変えたかも
しれない

ま、
こんなわけで

今でしょ

っていうのは
むかしから
東洋の
さとり希求系では
おなじみの
決めゼリフだったわけでございます

ちょいと一席
さとり話でございました

おあとがよろしいようで…




*シャルル・ボードレール『パリの憂鬱』



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