2013年10月13日日曜日

超体







ながく続いていた冬がいつのまにか終わり
その後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり
その後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり
その後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり
その後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり
さらにその後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり
さらにさらにその後に続いていたべつの冬もいつのまにか終わり

省略するが
春夏秋についても同じようなぐあい
途絶えることのない波紋のようにひろがりながら押し寄せ続け
それらの終焉を確認するのもなかなか容易ではない

ある草原の中ほどの丘に
木の名前と狼の一種の名前を持った老人が住んでいて
幾晩か泊めてもらったが
波紋のように打ち寄せ続ける無数の季節の終焉を
確認するだけが彼の生涯だったと聞いた

老人から手渡された茶を飲みながら
わたしもそれらの波紋の打ち寄せの中に浸る

なぜか
老いている暇などない
肉体を超えた体をいつまでも鍛え維持し
世界のまだ見知らぬ土地を歩かねばならない
肉体を超えた体で!
超体で!
まだ!まだ!
と思え

波紋のように打ち寄せ続ける無数の季節の体!

しかも
確認するだけが
わたしの生涯なのではない!
                                  
   





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