2013年12月11日水曜日

いつも絶対の乖離としてある






ひとしきり激しい雨に見舞われた朝だったが
それでも冬に入ってから乾ききっていた空気が潤されていくようで
快くもあった  水たまりを避け
足早に進むうちにすぐにズボンの裾は湿り  とうに過ぎ去ったはずの
六月頃を思わせた  初夏の雨に降られて濡れそぼった裾の
脚にまとわりつく重さや冷たさが思い出され  あれほどには濡れずに
駅まで辿りつければいいがと  歩き続けていく

こういうことだ、生きているというのは――

                     とふと思ったが
まるですでに死んでいるような  思いではないか

死んで「いる」ではなく
すでに「死」のような
死にゆくのでもなく
死んだのでもなく

動詞「死ぬ」の動きの圏外に
なにものにも侵されずに浮いている
立っている  (たぶん濃いブルーの光そのもののように
           (可視だが近づきえないもののように
そこへ到るものでもなく成るものでもなく
いつも併行してありながら
いつも絶対の乖離としてある
  
「死」


                        
   





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