2014年1月19日日曜日

殿!

  

昨年自殺したわたしの知人は三人
死に方には意見したくなる方もあったが
まずは見事な御最期であった

おふたりは首つり
そのうちのおひとりは
口から泡を吹き吐瀉物が胸に垂れ
先に済ましておられたのであろうが
糞尿がすこし洩れて室内には臭いが漂っていた
もうおひとりは
行いがよろしかったのか
体内からの流出物なしの状態で見つかり
首にもちろん痛々しい痕は残ったが
まずまずきれいな死にざまであらせられた

飛び降りをなさった方は
比較的きれいなお身体で横たわっておられたが
頭や耳や口から血が流れていたのは
やはり避けようもなかったということか
頭蓋が割れたり脳が出たりせずに
よろしいことであった

どのように命を絶たれようとも
その方々にとってはやはり最良の道であらせられた
死の瞬間の飛び越えをいちばん容易にする方向を
しっかりと選ばれたということであろう
自殺なんかして…というのは
まだまだ追いつめられていない若輩の言うこと
だれにも最期の瞬間は来る
のたうちまわるような痛みや
胸に水が溜まって呼吸が半分もできないような永続する苦しみや
それまでの日々の生のこまごまを支えてきていた
あらゆる価値が砂のように崩れて取りかえしようもなくなる心境が
最期には誰にも来る
どちらに進んでも退いても
苦痛と息苦しさと憂鬱と衰弱しかない時期が
どんどん近づいているばかり

御立派な御最期を
殿!





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