2014年8月3日日曜日

諸世紀―2014.8記


  
ふつうは気づかれないほど飛び飛びに
老病によってひとを飲み込んでいく死の淵が
各地に大きな口を開けはじめている
老病によらぬ突然の死が多量に寄せはじめている

ここは平穏だからと安心できる地はなくなる
事故は唖然とするほど大きくなる傾向を示し
思いもしなかった多数の死者を出すようになる
安心し信頼していたものに裏切られ続ける

自然も人工物も崩れ裂けずり落ち剥がれる
人と人との争いは容赦もなく激化し
望まないのにいつの間にか敵対させられる
流血はあたり前のように大陸に島々に広がる

戦いを忌避し批判していた人たちが殺戮を行う
この時期に子を持つ親たちは自らを呪ってやまない
生まれてくる子らは殺戮し殺戮される駒でしかない
もちろん病も各地にしずかに襲いかかってくる

病と争いの続くなかに数百年が経っていくだろう
歴史上何度もくり返された時代がふたたび来ている
生きるに値しない地上と知った者たちの乱は激しい
帝国のような国々でさえふいに瓦解する

ひとたび国が崩れれば既得権益者家族の首が並ぶ
人とみれば心臓を打ち抜き首を刎ねる者たちが現れる
食物も水も信頼できるものはほとんどなくなる
道端で倒れて骨を晒す者たちがどこにも見られる

頭蓋骨を皿や壺に使って食事を行いさえするだろう
領土や食糧や資源や財のためでなく動く者たちが来る
なにかに衝き動かされて一時的な組織を作るが
既成のものを破壊し終えれば自壊をくり返すだろう

意味もなく殺されるので外国への旅はどこも命がけになる
逃げ込む小道を知っている国内のほうがまだよい
しかし誰にも地上には逃げ道がないと思い知らされる
遠い他人の不幸を無視してきた者たちが生皮を剥がれる

人助けをしてきた者たちも身ぐるみ剥がれ殺される
季節のよろこびさえもさらに激しく狂い出す
豪雨と竜巻と炎暑と乾燥が時季外れに襲い続ける
人の体と心が壊れる前に動植物が滅び食物がなくなる

先に死んだ者たちがなんと幸せだったかと挨拶するようになる
異常者が増えるというよりどこか異常な人しか残らない
相手が異常だと言いあってはすぐに刺しに行ったりする
今年はこれまでのような日々の最後の年

よろこびや楽しみは今年のうちに追っておくように
いまガザに起きていることが来年は各地に起きる
土地は大きく陥没し国が一晩にして滅ぶ
一国民の規模の人数がたびたび一日で死に絶える

そのため死臭で地は覆い尽くされることもある
すべては借り物の大地と自然と身体への畏敬の欠如から来た
大地と自然と身体を敬わなかった国々から壊れていく
業の堆積した土地にも民にも過度の不幸が襲う

違和感を感じたら土地を去り人を去る必要がある
死の淵はとどめようもなく広がり出してしまっている
もう後に戻ることはできず逃げ続けることしかできない
あるいは今の状態に満足して留まり陽と月を享受する他ない

いずれにせよ物を集めたり増やそうとはするな
それらはさまざまな仕方ですぐにも失われる
物を手放したわずかの金で小さな宴をするほうがよい
質素でも毎晩毎晩が最後の晩餐だと思うのがよい





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