たとえば
真夏
朝がた着がえたばかりのシャツが
昼にはもう汗まみれ
それでも
汗をかいただけのことだから
着がえずに
そのシャツで一日を過ごす
そんな態度で暮らしてきた期間が
けっこう
長かったように思う
けれど
あるとき
あまりの不快さから
ちょっとなげやり気味になり
昼にシャツを替えてみた
ふたたび汗まみれになった夕方も
またシャツを替えてみた
夕食の後も替えてみた
けっきょく
一日に四回もシャツを替え
おかげで
ずいぶん気分よく一日は過ぎた
シャツを四枚も洗濯にまわしながら
つくづく思った
こんなことで気分がよくなるなら
水や洗剤の費用など安いもの
教え込まれ
慣らされてきたやり方を
自力で捨てて
突き抜け出てしまった一日!
ほんとうの革命だった
この日以降
シャツ一日四枚主義を
日々のじぶんのすべてに
あらゆることに
適用するようになったのだから
おおげさにいえば
生まれてから覚えたすべてを
このとき捨てた
捨ててしまえばいいのだと悟った
親から教え込まれたものも
学校で慣らされたことも
この地方や
この国のやり方も
人類一般の
ふつうのやり方も
特殊なやり方も
既存のものはすべて
なにもかも
そうして
決めたのだ
もう
この世ではなにも学ぶまいと
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