2014年10月23日木曜日

聖母水村はなこへの夕べの祈り 全編24章



(1994年版改訂2014年版)




ろくがくのほていあおいにきすをしたことがあるかい
      『聖母水村はなこへの夕べの祈り』8・15





水村はなことあなたをよびたいの
かわいてるの、ぼく
せめてはなまえの水のゆたかさ
せめてはあなたを水と名づけて
いきのびたいの、ぼく
たすけてよう、みずむらはなこ
よばせてよう、みずむらはなこ
水村はなことあなたをよびたいの
水村はなことあなたを
あなたを




きららくらら
きららくらら
きららくららくらら
くらら
くらら

くらら




水からうまれたくらら
ひたひたぬれて
髪ぬれて
背をつつつうとすべりおちる水滴
みていたのさ、ずうっと
なんてきみはくらら
たんてきみわく、らら
ゆうぐれです
ゆうぐれ
くらあく
くらあく
おいで、よる
くららまだまだ
ぬれくらら
ら、 ら




くららきみの
はだかきみの
みてるはなこ
あそこはなこ




くららの、
くららなおっぱい
みて、ぽよよんと
うまれたて
おみずぽたぽた
くちびるるるる
きて、みて、だいて、
ね、はなこ
ぽよよんと
はだこしよう
くららくららに
はだこしよう
おみずるおみず
くちびるるくち
るるくちくちくち
びるるる、るるる
るよよんと
ぱここしよう
らよよんと
みゅここしよう
みゅここ、みくぉくぉ
りゅくぉくぉ、きゅくぉくぉ
くらるるる
るるるこ
るここしよう
ね、はなこ




みているのね、はだかの
せなか
つかれて
ぬれたまま
かわきにびっしょり
ぬれたまま

ないているのね、じかんの
ほそい
かれくさ
もてあそんで
おわりだけをのぞんで
ふるえて

しんでいるのね、いちじく
むかず
まじわって
すすりすぎて
いるかのむれにとおく
はぐれて

まっているのね、みるくを
ふかく
きたえて
ころころと
あるでばらんにはなつ
ぬくもり
しっているのね、わたしの
くるみ
あかるみ
みずとつち
ふさふさとたちあがる
うちゅう

そんなふうなあなた
みている
どんなふうにあなたが
おぼえる
しんでいい、よ
わたし、あなた
いきかえってただいま
かげのなかにとつぜん
いいよ、あなた
わたしあなた
わたしゃなた
わたしゃーた

わたしゃーた




みずるみーよ
にきるにみーよ
ちょろにきえ
なはちょろみーよ

にはむさったらにーよ
りーよ
りょきゃんり
えいるみさらにーよ

るごっそっむーよ
れりれらるーよ
いよるがっさーにょ
にーよみりゃ
りーにょむりゃ

れいれいりょ
れいれいりゃ
れいれいりょ
れいれいりゃ




ひとりでみずを
てんにおちていってしまわないようにみずを
てんにおちていっていつも もどってこないものたちにしたいようにみずを そう
あのはるのひのごごのしろつめくさ、みずを
いかないでほんとうにおねがいほんとうに、みずを
おさえていたの、みずを
りょうてひろげてむねをつけて、みずを
くらいあぶらのようなすいめんをすべっていったね、ほていあおい
つきのひかりさくさく
さいていたはなまくまく
あたしのうんめいって、これ? ついに
わかったきがしたけどよるのくらいくらいみずのうえ
ほていあおいよりあおいうんめい
あたしをおきざりにしてかないでうんめい
ろくがつのほていあおいにきすをしたことがあるかい むかし
あわびしてたころくりかえしくりかえしみたゆめ
はかないのはいつもえいえんのほうよね とおい
てらにいくのね やまとうみのかなた
さらにかなた すべての
ものたちにようやくなみだするすべもおぼえて
しみこんでいくあたしあおいうんめい
みずにさしいるつきのひかりよりあおいあおいうんめい
みずをおさえていたあたしのあおいうんめいのおはなし、ろくがつ
けっこんしようよじだいさくごにじゅんすいにあいして
しろいどれすしろいこころうんめいはあおく
しろいかみさまのまえであさのばらのほおをおちるなみだ
やさしいくちづけをしてね、てのこうになんども
そのむかしあわびだったころひめていたゆめのように
そのむかしおんなだったころすてたゆめのように




さがせといわれてたびにでた
くろいばらのしみたわきばら
へめぐったかずかずのこうやよくや
ふいていただけのかぜ
ながれていただけのたいが

聖母水村はなこに全霊をもって帰依し奉る
くろいばらのしみたわきばら
やわらかなはだのからだへひとすじにわれを
みちびきたまえ、みちをしめしたまえ
くろいばら、やわらかなはだ、わきばらへ
あゝ、ふいていただけのかぜ
ながれていただけのたいが
へめぐったかずかずのこうやよくや
わきばらであるだけのわきばら
やわらかなだけのはだ

さがせといわれてたびにでた
くろいばらのしみたわきばら
もとめつづけくらくらのこころで
ひたすら祈り帰依する
聖母水村はなこに全霊をもって帰依し奉る



10

いきることはやはりしんわ
ぼくもきみもかれもかみで
そらをとべて
すがただってけせる
もうやめよう、にんげんのふり
もうやめよう、げんじつのふり



11

おがわのおもてがゆうひをあびて
いつかほんとうのじんせいがはじまる
かわのほとりでこんやくをするのよ
ひとしきりかわのみずおとはたかまれ

ひとりでいきていくじきのおわりは
ひとりでいるすべをしるとき
みずくさよりもうつくしいかみで
ひとりゆうぐれをしあげる

かなしさのなかをみずはながれる
よろこびはどこまでいくちからもつか
しっているかい、あいしたやまよはやしよ
みずをおもいでとしてしずまれよ、こころ

きょうもゆうぐれていくわたくし
むしのなくむらさきのかわべり
いつかほんとうのじんせいがはじまる
ひとりでいるすべをしるとき



12

しゃしんをとってなにになるの
とったひととられたひとはきえて
ただしゃしんだけがのこる

いつきてもこうげんのなつは
このはなとあのはなでいっぱい
なつごとなつごとのえいえん

あいしてよつよくいまだけ
あしたはかぜになるから
ながれながれていくから

ほんとうはわたしこわいの
しゃしんとってたくさん
わたしはいまだけのはななの

いつきてもこうげんのなつは
このはなとあのはなでいっぱい
わたしはいまだけのはななの

なつごとなつごとのえいえん
わたしにはかかわりはなくて
このはなとあのはなでいっぱい
このはなとあのはなでいっぱい



13

さいわいなるかな
よびかけるあいてあるもの
あなたのたましいのみじめさ
ありありみつめてもらえて

さいわいなるかな
みつめるあいてあるもの
あなたのまなざしのにごりを
ふかくかなしんでもらえて

さいわいなるかな
じさつしたともをもつもの
いきているというげんそう
すこしつよくもちえて

さいわいなるかな
すべてをあきらめたひと
うみやまをかわをそらを
やっとみるすべがわかる



14

こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさというあなたのかたに、いま
てんのみつかいのようなあおすじあげは
とまろうとしてとまらず
きのこずえのたかみへ
きえていってしまって、おもいではかぜのように
こころからうずをまいてうきでる
てんのみつかいのあげは
こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさとあなたいうから
にげていってしまって、おもいでもかぜのように
こころからうずをまいてきえさる
てんのみつかいのわたしも
こうふく、ふこう、こうふく
おなじことさとあなたいうから
とまろうとしてとまらず
さっていってしまって、おもいでもかぜのように
うずをまいてきえさる



15

くららくららとよびかける
ぼくのかたわらをしすべきひとびとのむれ
とおくではまたげんばくがおちたよ
とおくではまたさつりくがはじまる

にんげんやってあなたなんねん?
かんがえないわけにはいかないとおいひげき
ぼくだってずっとこのくにのほしゅうで
てかせくびかせあしかせのさいげつ

にんげんやってあなたなんねん?
どうせしぬんだからなんていうなよ
たたかいはとめなければならず
うみやまはまもらねばならない

くららくららとよびかける
ぼくのなんとちからなきおこない
にげてるわけじゃないんだ
わすれたわけじゃないんだ

にんげんやってあなたなんねん?
かんがえないわけにはいかないまもなくのひげき
けつだんはいつもことばなくなされる
くららくららとよびかけるあいだに



16

つかれ
すぎているのよ、たぶん
いのちのすばらしさ
くちがさけても
いえないなんて
あせ
うで、かたのおもさ
せすじのこわばり
めのおくがいたくて
うまくまとまらないかみのけ

いのちをさんびするのは
おかねもちのおくさんたち
おっとはだいきぎょう
むすこはけいえいこんさるたんと
いのちのすばらしさをせかいに
つたえなきゃつたえなきゃ
まあいろんなことはあるけど
じんせいはすばらしいものだわ、って

はんろんしないしあたし
なにもできないしあたし
つかれすぎているたぶん
とおいくににたくさんのしたい
あとからあとからばくだんみさいる
あたしがきょうかわなかったべんとう
もえるごみになっていくあかるいあした
しんでいくしんでいくかわれなかった
べんとうたべられなかったひさいちのこども

つかれすぎてるのあたし
たすけられなくてごめん
ごめんなさいごめんほんとに
たすけたかったのあなたを
こんなはずじゃなかった
つかれてなかったころは
おもっていたまいにち
あたしひとりでもやれると
みさいるばくだんなくして
たべものこうへいにわけて
おもっていたわかいひ
しんじていたじんるい

あたしつかれてふらふら
てれびつけてぼんやり
あなたのことみている
あなたひどくやせてて
あなたたつちからなくて
あなたおなかふくれて
しのまえのかおのきれいさ
めのなんとうつくしいこと

あなたがしんでしずかに
なおあけるあさきぼうと
よぶひとがいるそれを
つかれにがいこころで
ノーというわあたしは
ひていしてもひていしてもひていしても
たりない
ノーというわあたし
あなたをたすけられなくてあたし
みてるしかなかった
あなたからとおくはなれて
せまいせまいあたしのつかれのなかで
あたしのわびしいむりょくさみじめさのなかで
みてるしかなかった
ひていしてもひていしてもひていしても
たりない
じんるい
ノーというわあたし
ノーというわじんるい



17

かみをまちのぞむ
いっぽんのくさ
いちりんのはな
かぜふけば
ゆれ
あめふれば
ぬれ

すがたどうでもいいよ
こころどうでもいいよ
かぎりなく
かえっておいで
まっているのは
かみ
かえっておいで
うらぶれて
つかれきって
こころくちて



18

それでよい
あなたはそれでよい
あなたはそうであればよい
あなたはそうありつづければよい
あなたはそう
そうそうあれ、これからも
そうあれ、かぎりなく
そうあれ
そうあれ



19

ゆうべのいのり
かぐわしき
ゆめのはなばな
みなみのくにのあかるさ
きたのくにのしずけさ
どうぶつのこらとあそべよ
ながれにほしのちるまで

ちからのすてきなやさしさ
よるのかがやきをいっぱい
ひるのせいじゃくにだかれて
いかりのおちつきをたもつ
うみのちいささをくすぐり
ちせいのかるささわさわ
あついみるくのすがすがしさ

ゆうべのいのり
ゆめ、よろこび、やさしさ
やっぱりいきていこうよ
うつくしいものにひかれて
きよらかなもののほうへ
あんいけいはくふらふら
らふらふ、はひはひ、ひほひほ

ゆうべのいのり
ほしへのあいじょうはたりているか
うみへのれんあいはさめていないか
みるものきくものくらくくらく
いろづけるのうのあかをおとしなさい
おもうちから、おもいえがくちから
まだまだてつかずのむげんのうちゅう



20

みずからうまれたくらら
みずをはなれず
みずにもどり
またうまれ

くちつけるとき
くららのちぶさ
わきばら
せのふるえ
うなじすべらか
みみのこうこつ
はなのこりこり
ゆびさきつめたく
ふとももふとく
みどりなすちいさなもり
かげうつくしき
たにのするどさ

みず、くらら
聖母はなこの御使いくらら
からだひらいて
ひとびとを
うるおすくらら
みずくらら

もとめつづけてくらくらのこころよ
くららせよ
みずくらら
みずくららせよ
みずくらら

くらら
みずくらら

くらら



21

わたしのなかでひとり
わたしがさびしんでいるとき
聖母水村はなこさま
きてください、すくいに
わたしであることのでぐちのなさ
わたしであることのあじけのなさ
わたしはわたしのくらいぬまのよどみ
わたしはわたしのさびついたじょうまえ

わたしのなかへひとり
わたしがまよいいっていくとき
聖母水村はなこさま
きてください、すくいに
わたしであることのやるせなさ
わたしであることのほうとのなさ
わたしであることのいんうつなちかしつ
わたしはわたしのあんうつなゆうれい

わたしはわたしのこころなんかいらない
わたしはわたしのじんせいもいらない
どこまでいけばうんめいのはてにでるの
おわりなくかこいこまれいるこひつじ
しゃかいにかぎりなくまけていくわたし
ひびおもくくずおれていくわたし

わたしわたししいられてるわたし
わたしわたしけんおしてるわたし
いつのひか
わたしのいのちはてるとき
はっきりとつよく、つよく
わたしをだいてください
わたしがおわるそのとき
きてください、すくいに
わたしがわたしおえるそのとき
わたし、わたしあなたに
わたしわたす、あなたに
わたし、わたしわたして
わたし、わたしおえる
きてください、すくいに
だいて、つよく、つよく
わたしおわるそのとき
わたしわたすそのとき



22

くちていく
ねがいの
かるさ
ふわふわ
ぱらぱら
さわにふる
ゆきは
あわゆき
くもうすく
そらのあお
きれめにみえて
ただひとつ
つよきひかりの
ほしたかき
へいげんに
ふくかぜの
やわらかさ
おもいだす
はるのひの
とおいひの
おがわのおとの
せいれつな
おと
くれる
はるのひ
あのかわの
ほとりに
ひとり
きいていた
みずのおと
はっきりと
やわらかく
あたたかく
るるると
くるるると
まさしくくらら
かたちとる
いぜんのくらら
るるると
くらら
ると、くらら
えいえんに
くららなくらら
よろこびになく
くちていく
ねがいのはてに
なおくらら
るるるとくらら
なおくらら
なおくらら



23

いたりつき
たっせいし
へんしん
おわり
きゅうそく
はて
ついに
かたってもよい
ことばをかたってもよい
むくわれず
れいばいとして
くちよせとして
ことばをただうけてかきしるす
くぎょうしゃ、おまえ
かたってもよい
からだはひへいし
ひるによるをついで
じんせいかしぐままに
ぼうきゃくし
ぼうきゃくされ
あるくかげ
かきしるすししゃ
くぎょうしゃ、おまえ
なんのためとも
だれへむけてとも
すでにいわぬ
くぎょうしゃ、おまえ
ただかくだけのひと
しがそのてをとめ
そのめをつぶし
そのあたまをこうちょくさせる
そのときまで
ただかくひと、おまえ
かたってもよい
くぎょうの
へんしんの
このみちのり
だれにむけられてもおらず
なんのためでもない
ことばすることばのぎょう
そのくるしみを
そのよろこびを
かたってもよい
ここまできたからには
ここまできたからには



24

よるがふかまりかなしみは
そこしれない
かがやきをはっしはじめるから
やわらかく
しんでいこうよ、みんな
あかりを
うつくしくたいせつなことばの
かきしるされたほんにおしばなして
おいつのひかしんじゅの
ほおをもつしょうねんたち
みつけるめのはるのわかばかがやき
もえあがるほん
あかのぺーじもあおのぺーじも
みえないものへとかたちをとっていく
あつくうすくふるえる
がらすのまくがふるふる
まだみぬほしのかずかず
いっしゅんにすくわれて

やわらかく
しんでいこうよ、みんな
おわったやくめゆうぐれ
あたたかいよるはほしょうされて
いのられたことばひとつひとつ
たいせつに
もっともくらいちほうへとまかれて
ほしとなるじかん







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