2014年11月20日木曜日

ナニナニ カニカニ ソレソレ




わたしはこわいんだよ
詩人だなんて主張しないからね
そんなところに基盤を置かないからね
それどころか
なににも基盤を置かないんだ
だから無敵なんだよ
きょう詩人だなどと言ったかと思うと
あしたは詩人じゃないって
ヒラヒラ
まるでジョセフ・フーシェみたいに
表示替えをサッとやるからね
いつも便宜優先
ただの便宜
当座の出まかせ

世の中は自己顕示マニアで溢れかえっている
自己定義主義者で溢れかえっている
業績誇示者や
肩書きぶら下げ趣味人で
ぷんぷん匂っている
自分はナニナニだ
カニカニだ
ソレソレだ
そんなものからいちばん遠いはずの
詩だのなんだの書きつけ者たちでさえ
詩集を何冊出しました
どこぞの出版社から出しました
有名なだれそれとコラボします
売上げが意外とありましてね
などと商人づらに早がわり
どこまで行っても
ぷんぷん匂っている
自分はナニナニだ
カニカニだ
ソレソレだ
なんのことはない
ただの自己顕示マニアじゃねえか
ただの自己定義主義者じゃねえか
業績誇示者の肩書きぶら下げ趣味人じゃねえか

どこもかしこも
じつはミクロな政治の網の目だから
詩だろうが信仰だろうが人助けだろうが福祉だろうが
あらゆるところにエゴと欲得の汚泥は入り込み
どこまで行っても
ぷんぷん匂っている
自分はナニナニだ
カニカニだ
ソレソレだ
老人ホームでさえおなじ
自分はナニナニだった
カニカニだった
ソレソレだった
終末医療施設でさえおなじ
自分はナニナニだった
カニカニだった
ソレソレだった
ぷんぷん匂っている
ぷんぷん匂っている

もっと
みんなこわくなれよ
底知れない怪物になれよ
あんたがたの自己顕示はふにゃふにゃ
マニアぶりは中途半端
あんたがたの自己定義なんぞコンビニレベル
整理され理解されやすように最初から自己規制している
自分で自分のあたまにバーコードを貼って
わかりやすく進んで店頭に吊らされている
だれもまじめには見もしない業績なんか並べて
田舎の小さな会社のおやじみたいに肩書きをズラズラ
自分はナニナニだ
カニカニだ
ソレソレだ
なんだかカッポレみたいな猿踊り
卑小の民のサキワイたるこの小国ニッポンには
マッコトふさわしいとはいうものの

もっと
みんなこわくなれよ
怪物になれよ
他人のやっていることなんか誰にもどうでもいいこと
他人の興味の向いていることなんかどうでもいいこと
孤独に狂ってガーゴーと音立てて
または無音で静寂で
死までのしばしのお座興を
やっていくがいいよ
やっていかなくてもいいよ
どうでもいいんだよ
とにかく
あんたなんか
あんたがたなんか





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