2014年12月19日金曜日

安いインスタントコーヒーを淹れて



一日を終える前に
安いインスタントコーヒーを淹れて
読みたいけれどめんどくさい本を何冊も積んだまま
どれもけっきょく開かずに
カップから上がる湯気をぼーっと見つめて
ときどき啜るなんていうのが
ホッとするんだな
いちばん
明日は明日でどうなるかわからなくても
このひと時が
ほんとうの人生じゃないかって思う
仕事とか忙しさとかで染められている他の時間って
じつは幕間みたいなもので
ほんとうの人生じゃないのかもしれない
窓の外では
四季おりおりの夜のとばり
どれも絶好の舞台装置で
ありがたいと思う
こんな見事な舞台に何十年かでもいられて
人間とかいう生物の役を演じさせてもらって
しあわせだったと思う
愉しかったと思う




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