寝床に就いたものの
まだ眠らず
小さなライトをつけ
本を見ていると
気づいたのは
小さな
小さな蛾
布団のそばにいた
五ミリか
六ミリほどか
小さくて
脚も
毛のようで
触覚も
綿毛のようで
こんなのが
よく生きているもんだと
見続ける
歩きまわるわけでもなく
立ち止ったまゝ
からだを微動させ
震えている
ときどき
からだを前に運ぶが
止まっては
痛みに堪えるように
また揺れ
震えている
こういうのが
常態なのか
こういう
生き方なのか
気分でも悪いんじゃないか
と気にかかるが
抓んだら
抓んだだけでつぶれそうだし
抓んだって
治せるわけでもないから
そのまゝ
震えているのを見ているが
なんだか
楽ではない生き方のよう
苦しみや
不快さを宥めながらの
ぎりぎりの
生きぐあいのよう
ティッシュに
なんとか
這わせ
乗せてやって
窓を開けて
戸外に
ホイと投げてやったが
寝床に就き直してからも
大丈夫だろか
あいつ…
と気にかかる
蛾も
楽じゃァないようだ
このことは
蛾にかわって
ちょっとは
いや
なんとしてでも
世界に
言い広めてやりたいもんだ
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