すこし遅く播いたのに
朝顔はもう繁茂し
こんがらがった蔓の
そこにここに
小さな蕾が付き始めている
ついこの間はじまった
梅雨だというのに
沖縄ではもう
梅雨明けだと聞いた
短すぎる梅雨は
今年の後半の月々に
なにを齎すだろう
なにを齎さないだろう
逝く前の友が
憔悴した体ながら
あんな梅雨の日々も
今にして思えば
懐かしい肌の思い出
と洩らしたが
そう、
わたしたちは
ちょっと経てば
懐かしい思い出に
羽化しゆくばかりの
時の蛹のなかに
みんな
みんな
い続けていて
それを生と呼んだり
人生と呼んだり
でも
ほんとうは
だれも
まだ生まれてさえいない
蛹のなかで
夢見ているばかり
羽化すれば
すっかり忘れて
かけらさえ
記憶に残らない
夢の生
夢の人生
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