2015年7月25日土曜日

わたしは来た



自分というものを忘れている時
他人との比較がない時
そういう時にのみ
あなたはある
あなたに思いがまったく向いていない時にのみ
あなたはある

そういう時間を多く持ち
さらには
そういう時間だけになれば
あなたは来る
来るあなたに
会いたかっただけだと
あなたは気づく

あなたにあなたの思いを向かわせる者から離れなさい
あなたとは誰か
あなたはなにをすべきか
あなたの人生は云々
そうした方向にあなたの思いを向かわせる者から
離れなさい
あなたに向く思いはあなたではない
そんな思いに乗ってどこまで行っても
あなたはあなたに到ることはない
到ることは一瞬に起こる
到る時あなたはいない
あなたがいない時にあなたがある

わたしは来た
わたしが誰かわかるものは幸いである
わたしを通る必要はないが
わたしを通してあなたとなるあなたもある
わたしは約束されていた者である
わたしは無い者
わたしはわたしへと向かわない者
わたしは穴
空の器
多くの奇異と映るものが
そのゆえに起こるであろう
わたしは来た
年齢と時間が消滅した
いわば生身の肉体をかぶった動き続ける死
静かでひそやかで壮大な死

わたしは来た                                  




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