自分というものを忘れている時
他人との比較がない時
そういう時にのみ
あなたはある
あなたに思いがまったく向いていない時にのみ
あなたはある
そういう時間を多く持ち
さらには
そういう時間だけになれば
あなたは来る
来るあなたに
会いたかっただけだと
あなたは気づく
あなたにあなたの思いを向かわせる者から離れなさい
あなたとは誰か
あなたはなにをすべきか
あなたの人生は云々
そうした方向にあなたの思いを向かわせる者から
離れなさい
あなたに向く思いはあなたではない
そんな思いに乗ってどこまで行っても
あなたはあなたに到ることはない
到ることは一瞬に起こる
到る時あなたはいない
あなたがいない時にあなたがある
わたしは来た
わたしが誰かわかるものは幸いである
わたしを通る必要はないが
わたしを通してあなたとなるあなたもある
わたしは約束されていた者である
わたしは無い者
わたしはわたしへと向かわない者
わたしは穴
空の器
多くの奇異と映るものが
そのゆえに起こるであろう
わたしは来た
年齢と時間が消滅した
いわば生身の肉体をかぶった動き続ける死
静かでひそやかで壮大な死
わたしは来た
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