2015年8月14日金曜日

まずは歩いてみてくる



夜の7時頃から8時や9時
その頃には家にいません
ウォーキングに出ているから
大きな川まで出て
家々から離れた高い土手を長くながく
歩き続けているから
水だけを持って
さんざん汗をかきながら
ずいぶんな速さで
人の胸ほども雑草の生い茂った土手道の
闇から薄闇
薄闇から闇へと
歩き続けているから

四方八方が開けた
大きな川沿いの道を歩き続けていると
アタマの骨が上に向かって開いていくようなのが
ほんとうによくわかる
街にいたり家の中にいると
どれだけアタマが押し縮められているか
ほんとうによくわかる
四方八方開けていること
闇があたりを領していること
闇の中を行き続けること
雑草に囲まれていること
そんなことがどれだけぼくを復活させるか
ほんとうによくわかる

わずかな金を得たり
人界の世界観をちょこちょこと更新したり
小利口な知恵をつまみ食いしたり
そんなことだけのための
世の中相手の算段のあれこれ
しなければならないあれこれは
いつもいつも山積しているが
それらに取り掛かる前に
まずは早足で
汗をさんざん垂らしながら歩くことだ
闇から薄闇
薄闇から闇へ
アタマが骨ごと開いていくような
四方八方が開けた
重圧のあきらかに希薄なところ
ここを一時間も二時間も
まずは歩いてみてくることだ




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