2015年10月24日土曜日

あまりにもいっぱい



戦乱のなか
取っつかまって首を刈られたりする人が
去年や今年は多く
なんと悲惨なことか
なんと不幸なことか
なんという悲劇か
などと世間はくちゃくちゃ言い
ちゃぺちゃぺ言っていたが
あれはあれで
けっこう幸せなことかもしれないと
ぼくは思ったりもした

大病院や
介護施設に行くことが少なくなく
家で動けなくなっている人たちの話も
さんざん耳に入ってくると
傍目には不幸と見える死にざま
殺されざまも
ひょっとしたら
けっこう幸せなことかもしれないと
一定の濃度のある霧のような存在感で
思えてならない

けっきょく
なににどう殺されていくか
ではないか
死にざまというのは
なににも殺されずに来て
なににも殺されないで来たことに
殺されていくことも
いっぱいあるのだ
あまりにも
いっぱい




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