味も飲み心地も悪いがインスタントコーヒーを
深夜に淹れる現実味もあって
淹れる
深夜 台所で 電灯も殆ど点けず最小限の明かりの中で
棄て続け ネグレクトし続けてきた
わたくし自身を
何十年もの荒れた岬での隠遁の後 今
わが子のように拾い上げ
抱きとめてみようか
長らく螺旋を巻いていない時計を
ひとつひとつ取り直して
埃を払い 昔の指脂の付いた汚れたガラスを拭って
なにひとつ取り戻せないと
わかっている爽やかな明晰の哀しさにこそ
魂底から温められる感覚の仄かさを
そっと信じて
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