悪魔召喚の試みを続けている人の家では
すてきな香のかおりが漂っていた
悪魔はとりわけ安価な香を嫌うそうだ
神に焚く香も安価ではいけないと聞いたことがある
―どちらにしても値が張るもんなんですね
香についてそんな感想を言うとその人は
―だから実はwin-winのやらせじゃないかとも思います
対立する両勢力を役者として戦わせて
裏の演出家が利益を上げているんじゃないか、と
セッションが終わるともう東の空は明らんで
少し遠い駅までの道にやわらかい朝の薄闇があった
ともかくも悪魔には遠いような安らぐ風景と見え
神さえお出ましにならなくていいような風景と見えた
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