2016年2月23日火曜日

現実が現実でなどないのを



その夢のなかでは
ながく長く時間をかけて
死んでいった

しだいに
やがては加速度的に
衰弱し
最後には動けなくなり
世話をしてくれる人たちに
万感の感謝の思いと
その人たちの心のなかへの
沁み入るような気持ちの没入を
経験していた

死んだ後に目が覚めたのだが
死んでいく人の心が
これほどまわりの世話人たちや
介護する者たちの内部に入り込み
これほどまでの無限の感謝をし続けるとは
いままで気づかなかったと思った
失われていく自分だけに思いは集中し
まわりの人々のことなど
個人として見ようともしないのではないかと
思ってきていたので

それにしても
夢とは不思議なもの
そこからこそ多くを学んできた
現実という舞台の縁で
露わに見えてしまう
なんとたくさんの楽屋事情や裏事情
現実が現実でなどないのを
あからさまにわからせてくれる
水流のぶつかりの場所の意識
切り替わりのところに生まれる目



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