2016年2月28日日曜日

暗く暗く底を流れる河の景色を



もう花をつけた桜もある
けれど
河沿いの桜並木の蕾は
まだまだ
早春なのに
こんなに固い蕾で
大丈夫なのかと
思うくらい

河は暗く流れて
夕べの早春の景色の一部をなし
うすら寒い
人を不安な気分にする
夕べの暗がりの
雰囲気の底に横たわっている

春が来る
春が来たと
人は期待したり
嬉しがったりするが
こんなうすら寒い
暗がりの底に流れる河を見ながらも
盛りの春の心であり得なければ
老い続け
衰え続けていく人たちに
心の早春さえ
来なくなってしまうだろう

このうすら寒さ
この夕べの暗がり
暗く暗く底を流れる河の景色を
このまま嬉しく見られるのでなければ
あす明後日
数か月後
一年後
数年後の明るさは
心には来ない

いよいよ来なくなる



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