駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2016年2月29日月曜日
遠い目 巨大な目
群れた蟻たちが
頭を小突きあわせて
右往左往しているのも
蛾たちが翅をぶつけながら
夏の燈にいっぱい集まっているのも
仲互いとは見えまい
本当に重大な分裂とは見えまい
それで多数が
喰いちぎられて死んでも
燈に焼かれても
燈の下に落ちて蜥蜴に喰われても
人間社会の渦も混乱も
国家の衝突も
文明や民族の興亡も
そのように眺めている遠い目が
巨大な目がある
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