2016年3月27日日曜日

諸世紀のうち、二〇一六年以降



悪魔と呼びたくなるような
そうとしか名づけ得ないような
そんなものが
そこ此処に
うすく
濃く
漂い出していて
いくつかの場所には凝り出している
もし多量の人死にを
不吉なものと
やはり思うのならば

殺したくて
殺したくて
たまらないと身悶えしている心が
静かに世界に
満ち溢れつつある

人の多く集まるところ
しかし広い密室のようなところに
それは凝集する
ガスが流れ
血も流さずに多くの人が死ぬ
死ぬ人々はもう
霊界の名簿に書かれているので
そこに行ってページを捲り
閲覧できる人にはわかる
並ぶ人名のあまりの多さが

少なくとも20年は続くと言っておく
はやく死ぬ者ほど幸いだろう
名簿にはやめに名を記されるほうが
幸せだと思われるだろう
旅をせず
自分の今の居場所に居続けるのが
もっとも知恵のある過ごし方
と言われるようになる
用事で遠出をしなければならない人は
どこでも安らげる時がない
此処で今日生き延びても
明日はわからない
花束が爆発し
スプーンに毒が塗られている
多くの飲み物が胃を損なう
倒れている人々を見捨てて
逃げのびなければならない街路にさえ出くわす
そんな日々が何年も続くうち
いったい人類はどこをどう通過中なのか
見当もつかなくなっていく

今これを日本語で語っている
この言葉の使われる島々にいて
まだ幸せだったと言われるようになる
この島々の遠さ
世界中とのズレが救いとなるだろう




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