2016年3月7日月曜日

そこそこの霊力でも

  
このあいだも家の中で
部屋と部屋のあいだに立って
家人と話をしていたら
背後にある暗い畳部屋の
奥のほうのカーテンが
風もまったくないのに
誰かがつまみ上げたように
ゆっくりと持ち上がって
またゆっくりと下がり
元に戻って行った

背後のことだから
ぼくはそれを見なかったが
ぼくに向いて話していた家人が
ぼくの背後で起こった光景をつぶさに見ていて
あ、いまカーテンが…
という話になったわけ

こんなことがいろいろ
起こり続けるなかで
今さら糞リアリズムに戻れと言われてもネ
という話なんであるが
それにしても
風もないのにつままれたように持ち上がり
またゆっくり元に戻るなんて
なかなか見どころのある
カーテンじゃないか
少し古くなってきたから
猫や狐のように
そこそこの霊力でも
持ってきたのかもしれない



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