2016年3月18日金曜日

頂点の風景



函館では
大通りからだいぶ入ったところの
小さな
小さな
一軒家に住んでいたので
喧噪とは遠かった
床を歩くスリッパの
音とも言えぬ
ひたひたが
時々
じぶんの背後から
降り直してくるようだった

家の中よりも
庭にあった樅の木の姿のほうが
心には深く根づいた
降る雪の
その樅への降り積みかたが
まるで
わたくしの人生の
頂点の風景のように
思えた




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