2016年7月12日火曜日

朝の歌



時空にも血圧があって
夏の夜明け頃には
それがグングンあがっていくのが
とってもよくわかる
それにあわせて
こちらの血圧も上がるので
つられて目覚めてしまう
小鳥たちがやかましく歌いはじめ
朝顔ももういっぱい
今日の花を咲かせている

このまま起き出て
日が暮れるまで
からだと心を地球に密着させて
生き通せばいい
そうできればいいが
ヒトの密集地に滞在していると
もう少し寝ておかないと
夕暮れまでは保たないかもしれない
ヒトへの取材の旅の最中
そんな厄介事が
次から次と出てくる

しかし今朝は
もう起き出てしまおう
四時頃目覚めて
ずっと地球の血圧の上昇に
つきあい続けていく
空気と気と遠近のさまざまな音に
ピッタリ密着し続けて
すっかり自分など薄めて
存在とか“いる”とか“ある”とか
そんなものさえ
ヒト群れのカエサルたちに返して
よく深山の聖地で
透明なのにべったりと濃い
空気の地帯に入り込むものだが
あんなふうにすっかり透明になって
それどころか
もっともっとサラサラと
感知し得ないほど
薄く軽い気になって
空になって



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