春の花に
十分に
出会ったことのない
桜の葉が
夏
濃く
厚く
蝉たちに木翳を与えている
感情の道を
いくら行っても
解決はない
概念と
概念による論理の道に
解決が
ないように
やがて
わたくしたちは
感情から身を離して
それを眺め
概念からも
概念による論理からも
身を放すすべを
体得していくだろう
雨のあと
水嵩の増した河や
崩れる崖の土が
師のひとりであったことを
親しく知るだろう
蝉たちを長く守ったのち
桜の葉は
やがて自らも落ちる時節を迎え
落ちることで
最も大事なものを
守り続けることだろう
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