2016年8月11日木曜日

師のひとりであったことを


春の花に
十分に
出会ったことのない
桜の葉が
濃く
厚く
蝉たちに木翳を与えている

感情の道を
いくら行っても
解決はない
概念と
概念による論理の道に
解決が
ないように

やがて
わたくしたちは
感情から身を離して
それを眺め
概念からも
概念による論理からも
身を放すすべを
体得していくだろう

雨のあと
水嵩の増した河や
崩れる崖の土が
師のひとりであったことを
親しく知るだろう

蝉たちを長く守ったのち
桜の葉は
やがて自らも落ちる時節を迎え
落ちることで
最も大事なものを
守り続けることだろう




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