2016年8月30日火曜日

曇りを払いもせず



読まれたがっている
本たちの
階段下の書庫

秋の音がしている

きいきい
きいきい
から
「き」も
「い」も
抜かしたような
音で

わたしはおととしの
ドングリを
だいじに机に
入れて
あるから

どんな秋の
内心も
けっこう聞こえる

ひとりではないから
ひとりで
いる時をだいじに過ごしている

曇りガラスの
曇りを払いもせずに
顔を写したり
しながら



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