駿河昌樹 詩抄
気ままな詩選を自分の愉しみのために。制作年代も意図も問わず、まちまちに。
2016年8月11日木曜日
あいだがら
靴の底に蝉を感じたので
あわてて足を上げ
踏みつけないで済んだけれど
ときどき
ジィィィと喚くものの
もう身を起こすこともできず
飛び立つこともできない
蝉の一匹だった
そんな
たった一匹の蝉に
靴底のゴム面でわずかに触れ
ジィィィと喚いて
路上を背で擦っていくようすを
しばらく見て
夏の
無数の蝉のいる中で
しかし
たがいに
そんな遭遇をした
あいだがら
と
なった
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