明るい部屋から
奥の暗い部屋のほうへ
さらに
奥の奥の暗い暗い部屋のほうへ
向かっていく
廊下を
この館のもっとも大事な
空間だと感じている
この明るい部屋から出て
すこし進んだあたり
闇が磨り立ての墨のように
まだひかりを
蔵しているあたり
そのあたりに
長い蝋燭を一本立ててあるが
あかりの揺らぎが
そこだけでなく
廊下のこちらにも
むこうにも
いつも
独特の空間を作り出している
蝋燭は
いちど点ければ
小一時間ほど保つが
管理は
聖カタリーナの仕事
あだ名だが
常住の
簡素な装いのお手伝いさんなので
いつからか
そう呼ぶようになった
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