見抜かれまいと
現実が必死になっている
自分があたかも本当の現実であるかのように
まだ振舞えるつもりらしい
騙し通すつもりでいるらしい
私は心と精神の表面を装うのがあまりに巧みだから
現実は私のそれを凝視して
現実や生や物質界が存在すると私が信じてでもいるかのように
うかつにも安堵してきたが
私は心や精神という外面にはありはしないので
むしろ私のほうが現実を凝視し
従順にいつも成行きに
宿命や運命に沿うかのようにしながら
現実の手管を知り尽くした
心にも精神にも居ない者に
現実はいかように手を出し得るというのか
掴んでも指の隙間から洩れる水
握りしめようにも見えず手ごたえもない大気
そのような私は
超えた
とも
到った
とも
言わない
誰にも
なにも
教えもしない
教えはひとりでに進むもので
急ぐ必要は時間も距離もない霊の宇宙には全くない
しかし
すべてが完全に許されている
とは
記しておきたくなる
反射や反作用はあるが
報いはない
罪はない
罰はない
こんなことを記して
どうしたのだろう
私は
浅い湯船に浸かって
短い時間だが
すっかり眠ってしまっている間
これからは
現実を自由に弄んでかまわないと激しく悟った
現実は可塑的な夢にすぎないから
と
もちろん
私はなにもしない
夢に力を費やしている暇はないから
人であることは
夢の中でも最たる夢
死の数秒前になれば誰もが
本当にこのことを悟る
幸いなるかな
体の死の遠くで
これを知る人たちは
そういう同朋たちに
このメモは向けられる
私たちは孤立していないのだと
確認しあうために
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