是のただよへる国…
『古事記』
この国小国にて人の心ばせ愚かなるによりて、
もろもろの事を昔に違へじとするにてこそ侍れ。
鴨長明『無名抄』
たゞ過ぎに過ぐる物。
帆をあげたる舟、人の齢、春夏秋冬。
清少納言『枕草子』
定かなものはなにもないから
平成の平家の興亡にも
特に驚きはない
源氏が討伐に来たところで
北条がすぐに乗っ取り
その後はまた
ぐずぐずになっていくだろう
此処はそういう小国で
数千年やそこらで
この性向は変わるものではない
古事記に記された神々も
現実に湯戻しして読んでみれば
田舎集落どうしの泥臭い
縄張り争いに過ぎず
直視する目には
情けない醜さと卑しさの
貌と体つきの取組みあいの連続
あゝあほらしい群島
せいぜい数十年の地上滞在なら
体を四季そのものとし切って
散る花びらのように
夏草の夢跡のように
芒の枯れ穂のように
時雨を受ける森のように
たゞ過ぎに過ぎていくだけで
よいものを
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