エレベーターなどというものも
心の
さまざまを
引き出してくれる
思わぬ気づきの瞬間を
提供してもくれる
高野公彦
エレベーターひらく即ち足もとにしづかに光る廊下来てをり
雨宮雅子
エレベーター上昇 すなわち各階を見捨ててゆくも日常のこと
富小路禎子
自動エレベーターのボタン押す手がふと迷ふ真実ゆきたき階などあ らず
高野にあっても
雨宮にあっても
“即ち”
“すなわち”
によって
エレベーターは
思いの展開に繋がっていく
富小路は
誰もが着ている日常の偽りの肉体を一刀に斬り裂く
“真実ゆきたき階などあらず”
用事があって…
必要から…
昇って行く階など“真実ゆきたき階”ではない
そんな“階”へと向かい続けながら
だれの生命も蕩尽されていく
“ボタン押す手がふと迷ふ”瞬間を
大切に
思おうではないか
啓示の瞬間
“真実”と“真実”でないものの
仄見える瞬間だ
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