2017年9月21日木曜日

歴史の曙


コバルトブルー
ルビー
入っ
羽根
とある落ち着いた内装のシュメールレストランの
大きな客室を
ゆっくり
飛んでいる

あなたたちはウル第一王朝の創設を企んでおり
シュメール料理をつまみながら
時々
アッカド王国のいずれの創建などまで
はやばやと夢想している

古バビロニア王国の中所得層の
まだ存在してもいない男の精子に
あなたたちの誰かのDNAが必ず流れ込むはずだが
その精子から生まれた子の
そう長く続かないことになる家系の最後の女子には
ヒッタイトの荒くれ者に強姦される運命を負わせようと
(誰だろう…)
企んでいる者がいる

ともあれ
メソポタミアの今日の夕暮れは
混沌たる未来を思わせ
マーブルのような赤やオレンジや紫の色の絡みあい

ペロポネソス戦争の頃には
もう地上から消え去ってしまっているだろう
麦とブドウを巧みに混ぜあわせた
奇跡的な配合の酒を啜りながら
わたしたちは
まだ
歴史の曙に
居る
ということだろうか…



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