隷属によって社会を形成しようとする世界
それに対し
自由によって社会を形成しようとする世界
後者の自由世界の勝利
ヘロドトスが『歴史』に描いたのはこれだった
隷属世界は当時のアジア
自由世界はヨーロッパ
いまだに
第三次ペルシア戦争の教訓も浸透しない愚かな国もあるから
つらつらと
こんな古いことにまで遡って
思い出そうとしてしまう…
ペルシア王クセルクセスのもとに亡命したスパルタのデマラトスは
「ギリシアに隷従を強いるのは無理だ
「ギリシア人は自由を尊ぶから
とクセルクセス王に言った*
クセルクセス王は
「兵士たちが指揮者を恐れ
「その采配の下に隷従すれば軍隊は力を発揮するが
「兵士たちを自由放任にしておけば無理だろう
と答えた
自由
についてのクセルクセスの理解は
せいぜいが
規律もなにもない放縦程度のことで
ギリシアにすでに出現していた
自由民が自ら定めた法に基づいて国家を運営する
そうした自由というものを
まったく
理解できなかった
だから
デマラトスは続けてこう言うことになる
「ギリシャ人は自由であるとはいえ
「いかなる点においても自由であるわけではない
「彼らは法という主君を戴いている
「彼らはこれを怖れる
「殿の御家来が殿を怖れる以上に
せっかく
古代ギリシアの自由や法が
国力の礎として
憲法にも明記され
鮮やかに移植されたというのに
クセルクセス時代のアジアの隷属制に戻そうとする
異様な逆戻り人種たちが発生している
ペルシア戦争直後にアイスキュロスが描いた悲劇で**
ギリシア人たちが合唱するのは
「おおヘラスの子らよ!
「進め!
「祖国に自由を!
「子や妻に自由を!
「古い神々の御社や父らの墓地に自由を!
「すべてはこの一戦で決まる!
これに対し
ペルシア人側は
クセルクセス王の母アトッサに対し
「あなた様こそわれらの神のお妃様、
「われらの神の母君様におわします
と合唱する
クセルクセス王への隷従へ
アトッサへの帰依へ
ギリシア的自由をすっかり脱ぎ捨てて
自由民である重荷を剥ぎ取って
沈下していきたい
顔ナシたちが
うぞうぞ
うぞうぞと
このあたりの多島海にも
自縛霊している
憑依霊している
浮遊霊している
*ヘロドトス『歴史』第7巻、第101節以下。
**アイスキュロス『ペルシアの人々』
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