(…みんむけむ ほっむ*
寒い手
炉に色富む穂に
懐かしい
無我
なおキムさんから手紙は来続け
和王
轆轤を送り遣わす
船に同乗して
鴬
懐かし
忘れたペンを河端に借りようとする時
誰のイヤホンから
洩れた
バッハか
ブランデンブルグ協奏曲の第四番第二楽章
さびしさいっぱいの華やぎ
撥ねて
飛んで
急ぎに急ぎ
もう煙草をふかして待ってくれている人のいない
にせんじゅうはち年
…梅、見たねぇ
…桜、見に行こうねぇ
さっき
(…ひしめれてむ
(…いしめれてんぬ
(…りほる うぃ
(…ぜびみひしてぃる わむ**
明!
命!
May!
(…みんむけむ ほっむ***
内面を見尽していない人らの群れにちょっと流されていってみる
数十年かかったが内面をわたしは昨夜ついに見尽した
イメージにはできない空洞が見尽しの其処にはある
さびしいありようではなく
わたしを巡るあらゆるものの中心とすべき空洞であった
ない
なにもない
その“なさ”にわたしは安らいだ
わたしは“なさ”であった
「この世においては、物質的現象には実体がないのであり、
「実体がないからこそ、物質的現象で(あり得るので)ある*** *
「同じように、感覚も、表象も、意志も、知識も、 すべて実体がない*****
このような記憶が響いてきたが
思い出すまでもない
細胞のひとつひとつにまで染みている知だから
知と和は似ている字
トモカズ君?
チワちゃん?
きみたちは
昔のまゝのお寺の幼稚園の銀杏の大木の下で
新しいおもちゃを持って戻ってくる
わたしを待っている
*駿河昌樹 『らびてへむ みそりか』 in 詩誌《ぽ》3433、THE MAIL3502。
**ibid.
***ibid.
****『般若心経・金剛般若心経』(中村元・紀野一義訳注、 岩波文庫)p.11
*****ibid.
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