だれも私にたずねないとき、私は知っています。
たずねられて説明しようと思うと、知らないのです。
アウグスチヌス『告白』
半鳥人が見つかったというので
三角定規まで内ポケットに入れて
墓地と銀行の間の小路を辿り
ヒシバシ電鉄の駅までとにかく行こうと
びしばしジョニー(驢馬)を
叩くなんてことはもちろんせずに
軽くパタパタ背をはたく程度にして
ちょっとは急いでくれよと促し
サンチョ・パンサもかくあらんと
ぼくらは進んでいくところだが
電車に乗ったからといって
いったいどこへ向かったらいいものか
少しもわかってなどいないから
進めば進むほど迷いも多くなってくる
出すべき手紙がやはり内ポケットに
三角定規といっしょにあって
封筒の端が折れたりしていないかと
心配にもなったので手を差し入れて
ポケットを探ってみると硬い板に触れ
おや?とつまみ出して見てみると
黒い冷たい丈夫そうな長方形の板で
それでいてiphoneなんかではなくて
おお、そうか。忘れていたけれども
これは全くなんの役にも立たない
地球外鉱金属製の板だったはず
この用途のなさに到達しようとして
地球内精神体は宇宙的にどうでもいい
雑務をどんどん重ねてエネルギーの
無駄遣いを続けているのだったなと
また思い出しながらヒシバシ電鉄の
駅までとにかくはやく着かなければ
とジョニーをパタパタはたいているのも
半鳥人が見つかったというので
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