2018年7月14日土曜日

上ってくる朝日を待っている


空腹だったペンがどこのだったか忘れてしまったが
まもなく海に着くわよ
と二十年来愛用しているバッグがつぶやくような小声で言うので
もうすこし大きな声、出してもいいのに
言いながら真水を入れて蓋をきっちりしめておいた試験管の中に
上ってくる朝日を待っている

なにをどうしたらいいか
どこへ向かっていったらいいのか
どれもわからないけれども
若いんだから、ま、ま、ま、いいさ
上がってくる朝日は

上ってくる朝日を待っている

物たちにも
偶然にも助けられて
いつのまにか
足もとには澄んだ水の寄せる湖さえできていて

陽時計のかけらが
そう深いところではないだろうけれど
この湖には沈んでいるはずだ

…なにか、足りないな、
ことばが

エゾシカの肉の(しかし殺したりしていないエゾシカの)
特製ミートパイ
メロントリュフ添え
メロヴィンガ朝ふう発泡赤ワインソース掛け

ことば



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