空腹だったペンがどこのだったか忘れてしまったが
まもなく海に着くわよ
と二十年来愛用しているバッグがつぶやくような小声で言うので
もうすこし大きな声、出してもいいのに
と
言いながら真水を入れて蓋をきっちりしめておいた試験管の中に
上ってくる朝日を待っている
なにをどうしたらいいか
どこへ向かっていったらいいのか
どれもわからないけれども
若いんだから、ま、ま、ま、いいさ
上がってくる朝日は
上ってくる朝日を待っている
物たちにも
偶然にも助けられて
いつのまにか
足もとには澄んだ水の寄せる湖さえできていて
陽時計のかけらが
そう深いところではないだろうけれど
この湖には沈んでいるはずだ
…なにか、足りないな、
ことばが
エゾシカの肉の(しかし殺したりしていないエゾシカの)
特製ミートパイ
の
メロントリュフ添え
の
メロヴィンガ朝ふう発泡赤ワインソース掛け
の
よ
う
な
ことば
が
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