2018年8月4日土曜日

もう誰もいなくなってしまった浜


八月七日には立秋で
子どもの頃は
そういう古い暦って馬鹿だなぁ
ズレているし
どこか間抜けっぽいなぁ
そう思っていたが
歳を取るごとに
じつはすこぶる正確だったのだと
痛感してくるようになった

子どもの頃だって
八月も七日頃になると
海で泳いでいても
クラゲもいっぱい出てくるし
海水もどこかさびしくなってくるし
浜もさびしくなってくる
そういうのは感じていて
そろそろ街に帰りたいなぁと
思うようになってくる
秋のはじまりって
じつはあれだったんだと
歳を取ってきてはじめて
気づき直すようになってくる

気づいた頃には
じぶんという誰かさんの人生も
もう秋になっていて
もう後戻りはできない
もう取り返しようはない
そんなに悲壮な思いというわけでも
ないんだけれども
もう誰もいなくなってしまった浜
なのに
ところどころ冷たく
さびしくもなった水のなかで
ちゃぽちゃぽ浸かって
まだ楽しもうとしている
たったひとり



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