2018年8月27日月曜日

石棒


 
縄文展*では
いくつか石棒**も展示されていて
削ぎ落しの果ての
現代彫刻のようなシャープな形状が
長い長い時間の流れを忘却させるような
同時代性を突きつけてきていた

夏休みなので
子ども連れのお父さんも
お母さんも
おばあちゃんも
場内にはかなりいる

土偶の前でも
土器の前でも
親たちはいろいろと説明し
突飛な質問をしてくる子どもたちに
あれこれ答えていた

石棒の前でも
もちろん子どもたちは
これ、なあに?
と質問する

たいていの子は
石棒に振ってあるひらがなが読めるので
い、し、ぼ、う…
と声に出して発音したりする

そう読んでみると
石の棒かァ
となんとなく納得してしまうので
子どもたちのほうも
あまりしつこくは聞かない
すぐに他のものへと関心が移っていくので
たいていの親たちは
そこで
ホッとしている

小学校の低学年か
幼稚園ぐらいか
ひとりの男の子が
これ、先っぽ、キノコみたい…と
大声で
親に言っていた

親以外の
まわりの大人たちは
この親がなんて答えるか
この男の子が
さらに
なんて質問するか
興味津々
であるかのような雰囲気が
できあがったが

残念!

男の子は
つつつつつっと
むこうの土偶のひとつのほうへ
歩いて行ってしまった



*「縄文 特別展」(東京国立博物館、201873日~9月2日)
**縄文時代にみられる磨製石器の一種。男性器の形状で、呪術・祭祀に用いられたと推定される。長野県佐久穂町出土の北沢大石棒は、長さ223cm、直径25cmにもなる。




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