2018年10月14日日曜日

どこかにからだを



からだを忘れてきたことに
ふと
気づく

どこに?

思い出そうとするが
わからない

目もなくなって
どうりで
あたりは薄明
人影もなく
身というべき身もないのだから
軽々と
しているわけだ

近くにだれか居たとしても
こちらの姿なぞ
見えもしないのだろう

どこかで
目くらいは
調達したいものだがな

ちょっとは
香りがわかるように
鼻もあったほうが
よいか

さびしい風の音なども
やはり
聴きたくも思う…

おやおや
こんなふうに
だんだんと欲ばっていくうち
また
むずがゆくなってくる

そうか
からだというのは
欲のこんな繁茂していくにつれ
あちこちに
芽が生え出して
だんだん
膨らんでくるものだった

おおおお
芽の伸びることの
なんと
はやいこと
はやいこと

もう
目がくるりと出来て
かたちだの
色だの
わんさか見え出してきている
なにが
なんだか
よくわからないが
ここはどこ?
とか
あれらはなに?
とか
腕を伸ばし
指をひくひくさせて
思うのが
世界の流儀じゃなかったかな?

わたしはだれ?
とか
わたしはなにをすべき?
とか
そんな思いも持つようにと
だいぶ後になって
また
強いられるかもしれないが
そのふたつとは
今度は
まともには
とりあわないように
しなきゃ

すべてをねじ曲げ
暗く
重く
しかねない
ふたつ
だからな

けっきょく
なんの役にも立たない
しょうもない
ふたつだってことは
このあいだまでのあのからだを
忘れてきてしまうまで
ずいぶんと
ながいあいだ
よくよく身にしみて
わからせられて
きたんだもの





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